世界は気の持ちようだと知ったのは、彼女ができた時でした。

“付き合う付き合わないの経験は何度かあれど、やっぱり学生時代の恋人関係は強く印象に残っています。
ドラマや小説の表現で、世界が輝いて見えると言いますがまさにそんな感じで、やたらと全てに感謝したくなったり無意味に踊りたくなったりして、とにかく湧き上がってくる嬉しさが抑えられない状態でした。

何せいきなり携帯メールで、「付き合ってくれませんか?」とメールが来たものですから正直ドッキリかと思ったくらいです。
こっちは何も意識せず友達だと思っていただけなので、まず好かれていたという事実に心が躍りました。

心を落ち着ける為に何故か自転車で和菓子を買いに行き、両親に無意味に振舞ったことを覚えています。
勿論高校生男子が親に彼女ができた等と報告したい訳ではありません。
ただ、何かせずにいられなかったのがそんな形になっただけなのです。

しまいには普段しない買い物の荷物持ちや、夕食後の洗い物、風呂掃除までやってしまい、「何が欲しいのか正直に言ってみろ」と勘繰られましたが、笑顔のまま部屋に戻りました。
あの時ほど、自分の周りや生きている環境に感謝した時期も無かったと思います。
何に対しても前向きになっていましたし、面倒だと思っていた事も何の抵抗もなく努力できるのです。

勿論1ケ月もすれば気分は落ち着きましたが、彼氏彼女ができた時のいいところは、自分が心から生きていて良かったと思える時期がある事です。
結局付き合いは1年ちょっとで終わりましたが、今でもあの時の世界の輝きっぷりは強く心に残っています。

社会人になると、正直食事に誘った所である程度は伝えたようなものです。
誘いを受けてくれるにせよ駄目にせよ、気がある事はそれだけで相手に伝わります。
そんな手順に慣れている恋愛が悪いとは言いませんが、あの時の感動は生涯特別な思い出として残り続けると思います。
その時代しかできない事というのは、確かにあるのです。”

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